遺品のご供養とお焚き上げが必要な理由
役目を終えて遺品となった故人の大切な品々を、感謝と労いの意を込めて供養するお焚き上げは古来から行われてきた遺品を処分する方法のひとつであり、日本ならではの美しい伝統文化でもあります。
日本では往古より「あらゆるものには魂が宿る」と考えられてきました。
特に、お札やお守りなどには神が宿るとされていたこともあり、神仏や丹誠に使い込んだものを粗末に扱うことなく、礼を尽くし浄化によって天界へ還すための儀式を神社や寺院に依頼することが通例とされていました。
古くから行われてきたこの風習は現代の遺品整理にも伝承しており、ご供養によって魂抜き・お性根抜きを済ませたご遺品は、お焚き上げによって焼却処分するのが一般的となっています。
遺品の中には、故人が使い込んでいた手帳や手作りの物、写真や人形など大切にしてきた物はもちろんのこと、知人などから送られた手紙や年賀状、お守りや名前の入った表札、仏具や数珠などゴミとして扱うにはためらってしまう物はたくさんあります。
遺品整理の場面において、これらを不用品としてそのまま処分してしまうには気が引ける、抵抗を感じるという方がほとんどではないでしょうか。
このように処分のしかたに困ってしまう遺品があった場合に利用したいのが、遺品の「ご供養」と「お焚き上げ」です。
お品に宿った魂を抜くことでけじめもつき、適切な方法で廃棄することにより故人に対して弔意を表すことができます。
遺品供養とお焚き上げは、遺族の心の負担を軽くしてくれる重要な伝統行事と言えます。
遺品供養やお焚き上げは業者と寺社仏閣どちらに依頼するのがいい?
現在、お焚き上げを行ってくれる場所は大きく分けて2つ、寺社仏閣などの宗教施設と遺品整理業者やお焚き上げ供養を専門に行う業者があります。
これまで、お焚き上げによる遺品供養を行いたい場合は、神社やお寺に依頼するのが一般的でした。
しかし近年では、環境問題への配慮からお焚き上げを控える寺社仏閣が増えていることもあり、遺品整理業者やお焚き上げ供養の専門業者に依頼するケースが増えています。
寺社仏閣と業者、どちらに依頼するのが良いかを判断するポイントはいくつかあります。
まず、業者に依頼する最大のメリットは、神社やお寺とは異なりお焚き上げをする物に対する制約がほとんどないという点でしょう。
寺社によっては檀家(だんか)や氏子(うじこ)しか受け付けてくれないところもありますし、持ち込んだ物すべてを受け入れてくれるわけではないので注意しなければいけません。
遺品の数量や供養の時期が限られているところもありますし、持ち込める品目についても制限されている場合が多くあります。
もちろん、明らかに異なる宗派の物を持ちこむのはマナー違反です。
一方、業者であれば基本的にはどんなお品でも受け入れてもらうことができます。
特に遺品整理業者であれば、遺品の仕分けや整理と合わせて供養の手配もしてもらうことができるので、遺族の負担や作業時間を最小限に抑えることができるため、需要も高まっています。
遺品整理業者に依頼した場合も、古くからの風習に因み、提携している各宗派の僧侶を招いて読経供養を執り行った後、ご住職によるお焚き上げにて丁重にご供養してもらうことができます。
個別にご供養をする「個別供養」と、ほかの方の遺品と一緒に供養する「合同供養」を選ぶこともできますので、希望する方法を相談してみても良いでしょう。
故人が生前に深く信仰していたところがあれば、その宗教施設で行う方がスムーズな場合もありますが、遺品の数が多ければ業者に依頼した方がいいですよね。
遺品の供養方法は宗派だけでなく、数の多さや内容に合わせて臨機応変に検討することをおすすめします。
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遺品供養とお焚き上げの料金相場とは
お寺や神社でお焚き上げによる遺品供養を依頼する場合の料金は、基本的にはお気持ち分のお礼を賽銭としてお納めするだけで対応してくれます。
ただし、お焚き上げで対応できない品物などは「神棚処分」という形式を取ることがあります。
その場合は祈祷料として3000円~10000円程度のお礼を納めることになります。
正確な費用は、神棚の大きさや遺族が祈祷に立ち会うかどうかによっても変わりますので、事前に寺社へ確認するようにしましょう。
遺品整理業者や遺品供養を代行する業者に依頼する場合は、遺品の量や供養する遺品の内容、対応人数や現場の状況などで料金が設定されています。
依頼する業者によってもサービスの内容や料金は異なりますが、おおよその相場としてご参考ください。
- 1DK・・・80,000円~
- 1LDK・・・130,000円~
- 2DK・・・180,000円~
- 3DK・・・250,000円~
遺品整理行業者であれば、遺品の整理と合わせてお焚き上げから処分まで依頼すれば、すべてを含んだ見積もりを一括で出してもらうことができるので大変便利です。
業者によって提供している供養方法やオプションなどはそれぞれ異なりますので、カタログやホームページなどで確認しておきましょう。
遺品整理の見積もりで注意するべきポイントも合わせてご覧ください。
お焚き上げや遺品供養の代行業者を選ぶポイント
遺品供養やお焚き上げを依頼できる業者には、遺品整理業者をはじめ、特殊清掃業者や便利屋などがあります。
中でも遺品整理業者であれば、遺品の整理を行うために必要な知識を身に着けた専門の資格を持つ「遺品整理士」が在籍しており、故人や遺品に対して敬意とモラルを持って接してくれるので安心です。
また、万全なノウハウを要してデジタル遺品整理を行う業者であれば、個人情報の漏えいなど現代社会における特有のトラブルも防ぐことができるので、より安心といえるでしょう。
従来の情報機器や電子機器の処理方法は、ほとんどの場合「穴をあける」「物理的な衝撃を与える」などの壊す行為がメインとなり、お焚き上げによる供養までは行われていませんでした。
しかし、携帯電話やスマートフォン、パソコンなどいわゆるデジタル遺品も故人が生前に大切にしてきたものであり、機器内に保存されている電子データには重要な個人情報がぎっしりと詰まっています。
それは、同時に第三者によるデータ復旧など悪用される危険性も秘めているということです。
どんな遺品でも受け入れてくれる業者であるからこそ、ご供養・お焚き上げはデジタル遺品に対する適切な対処方法も習得している業者に託したいものです。
物的な遺品に限らず、個人情報を適切に整理し、故人の尊厳を守ってくれる業者を上手に選ぶようにしましょう。